【遺 言】
☆当事務所では、「遺言」の作成についてのサポート業務を承っております。☆
〔遺言のメリット〕
当方が実体験上で感じるところでは、遺言の最大のメリットは、“預貯金等の名義変更がスピーディに行える”点にあると思われます。
これは実際に体験された方々であれば、異口同音ででてくるものとして、“預貯金等の名義変更がこれほど大変だとは思わなかった!”という点でございます。
ことに各金融機関ともに、相続後の名義変更ににおいては、提出すべき書類等はかなり多く、かつ難易度が高いのが特徴です。
提出すべき書類等を揃えるのには、大変な時間と労力を要します。
遺言書があれば、ほぼこれを提示するだけで名義変更の手続きはいとも簡単に完了します!
[依頼が多い遺言の実際例]
皆様は遺言についてはどのような印象をもたれておられますでしょうか?
どのような内容の遺言が多いと思われておられますでしょうか?
かなりの財産をお持ちの方々がされるものというイメージをお持ちなのではないでしょうか?
実際には、それほど財産があるわけでもないごく普通のご家庭のケースの方が多いのです。
その内容も、財産の移転についてが 目的ではなく、むしろそれ以外の目的こそ重要論点とされての依頼のケースの方が多いのです。
例えば、「自分が先だってしまった場合、のこされた妻の面倒を見てほしい!」であったり、「自分の死亡後、大切なペットをみなでかわいがってほしい!」であったりします。
または「自分の死亡後、兄弟姉妹でなかよくやってほしい!」であったりします。
これらの内容は遺言としての効力そのものはありませんが、付言事項として遺言書のなかにいれることが出来ます。
これがなき故人が最も言い残しておきたいことがらであったりします。
このことがのこされた親族へのその後の指針となることは言うまでもありません。
こように本人が最も言い残したい事柄をのこすために形式的に遺言の形をとっているにすぎないのであります。
当事務所ではこれらのことからも遺言者本人が最も言い残したいことは何なのか?こそが最も重要と考えております。
すなわち当事務所では単なる遺言の表面的な形式よりもこの本人の意思(想い)を何らかの形に残したいと考えます。
[遺言の必要性が特に強い場合]
遺言の必要性が特に強いと思われるケースをつぎにあげておきます。(公証人役場連合会HPより引用しています。)
①夫婦の間に子供がいない場合
②再婚をし、先妻の子と後妻はいる場合
③長男の嫁に財産を分けてやりたいとき
④内縁の妻の場合
⑤個人で事業を経営したり、農業をしている場合など
⑥上記の場合のほか、各相続人毎に方形させたい財産を指定したいとき
⑦相続人はいない場合
またこれら以外でも次のようなケースも考えられます
⑧法定相続人でない者に財産を与えたい場合
⑨相続人同士が不仲である場合
⑩事実上離婚している場合
[遺言]
《遺言》とは、遺言者がする相手方のない単独の意思表示であります。
特定の人の了解を得る必要もありません。
また内容を知らせたりする必要もありません。
死者つまり被相続人は、“生前において自分の財産を自由に処分することができる”立場にあります。
したがって、遺言により特定の相続人に相続させることもできますし、特定の第三者に財産を移転(遺贈・死因贈与)させることもできます。
[遺言能力]
《遺言》は、民法上、《15歳》に達するとおこなうことができます。
問題となるのは、成年後見人のケースですが、判断能力を一時回復したとされる時においては、医師2人以上の立会のもとで遺言をすることができます。
現在のところ保佐人・補助人についてはこれらの制限規定は存在していません。
[遺言することができる事項]
・相続分の指定、指定の委任
・遺産分割の方法の指定、指定の委任
・遺言執行者の指定、指定の委任
・遺贈、寄付行為
・遺贈の減殺方法の指定
・非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子)の認知
・未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定
・相続人の廃除、廃除の取消
・共同相続人間の担保責任の指定
・遺産分割の一定期間の禁止
・特別受益者の持ち戻しの免除
[遺留分]
〔Ⅰ〕遺留分の規定
①遺言をする際についてのポイント点のひとつに遺留分の規定がございます。
遺留分とは、相続人に残された最低限度の権利です。
法定相続人(兄弟姉妹を除く)には遺留分があります。
遺留分が侵害されたら、遺留分減殺請求で遺産を取り返すことが可能です。
遺留分を無視して遺言をすることはできますが、遺留分を侵害された方はこの規定を根拠に遺留分減殺請求をしてくる可能性があります。
結果としてのこされた遺族に争いの種をのこしてしまう可能性があります。
②遺留分割合の基本的計算パターンは、次の2パターンです。
A)直系尊属(本人より上の世代)のみが遺留分権利者のときは、遺留分の割合は相続財産の1/3であり、
B)それ以外の場合は、相続財産の1/2が遺留分割合となります。
〔Ⅱ〕遺留分割合
具体的に遺留分権利者とその割合をまとめると、下記のようになります。
a)配偶者のみ→2分の1。
b)子と配偶者が相続人→配偶者が4分の1(遺留分割合1/2×法定相続割合1/2=1/4)、子が4分の1(遺留分割合1/2×法定相続割合1/2=1/4)。
※配偶者が死亡している場合は子が2分の1
c)父母と配偶者が相続人→配偶者が6分の2(遺留分割合1/2×法定相続割合2-3=2/6)、父母が6分の1(遺留分割合1/2×法定相続割合1/3=1/6)
※配偶者が死亡している場合は父母が3分の1
d)兄弟姉妹と配偶者が相続人→配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし。
※兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。したがって遺言のみによって遺産を与えないようにすることも可能となります。
〔Ⅲ〕具体的計算方法
各相続人の遺留分を計算する時は、まずその算定の基礎となる財産の額に該当する遺留分の割合(1/3または1/2)をかけた額を遺留分として算出し、次にこの額にそれぞれの法定相続分をかけて算出します。(法定相続分の説明については、次頁に記載しております。そちらの頁を、ご参照ください。⇒〔相続(「遺産分割協議書」)〕)
相続人構成 | 遺留分 | ||
配偶者 | 子 | 直系尊属 | |
配偶者のみのケース |
1/2 |
ー |
ー |
子のみのケース |
ー |
1/2 |
ー |
直系尊属のみのケース |
ー |
ー |
1/3 |
配偶者と子のケース |
1/4 |
1/4 |
ー |
配偶者と直系尊属 |
2/6 |
ー |
1/6 |
[遺留分減殺請求]
遺留分を侵害された方は遺留分減殺請求をすることができます。
但しこれには時効の期限が設けられており、その定められた有効期間内に請求しなければなりません。
a)相続の開始、減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った時から1年間
または、
b)相続開始の時から10年間
が有効期間となります。
遺留分減殺請求は配達証明付き内容証明郵便で行うとよいと思われます。
※この遺留分減殺請求の内容証明についても当事務所にて行っております。
遺留分の侵害をうけられて遺留分減殺請求をされたい方は当ぜひ事務所へご相談くださいませ。
[遺言執行者]
遺言をする際にいれておきたい事項のひとつ遺言執行者があります。
遺言の内容にそって、貯金の名義変更や車の名義変更などの事項を行うこととなります。
この遺言の内容を行うことを遺言の執行といいます。
遺言の際には、遺言執行者を遺言で決めて表記しておきたいところです。
遺言執行者の指定がない時は、法定相続人全員が遺言の内容を施行してゆくこととなります。
遺言執行者には相続人でもなれますが、親族間のトラブル防止等の観点からも出来るだけ第三者を指定しておくほうが望ましいと思われます。
ことに行政書士などを指定されておかれることをおすすめいたします。
※なお、遺言執行者は相続人の代理人とみなされます。(民法1015条)
遺言執行者と相続人の間の法律関係については、委任の規定が準用されます。(民法1012条2項)
(以上を変わりやすく説明すると次のようにいえます。⇒一般的に、各士業への業務依頼をする場合には、《委任状》が必要とされます。例として、商業登記や不動産登記を司法書士へ依頼する場合には《委任状》が必要とされます。ところが、遺言に遺言執行者として定められている者のケースでは、遺言執行のさいには《遺言書》を提示すればよく、《委任状》が不要となるということです。)
具体的例 |
遺言執行者の指定なしのケース |
遺言執行者がいるケース |
預金を解約する時 |
相続人全員の印鑑証明をつけて印をおした依頼書を要求される。 |
死亡したことがわかるものをつければOK。 |