【『遺産分割協議書』】

(相続/「遺産分割協議書」)

☆当事務所では「遺産分割協議書」の作成サポート業務も承っております。☆ 

  

(「遺産分割協議書」の作成は、後のトラブル等を回避するためにも有効でございます。また、スムーズに財産の名義を変更する場合にも、必修の書類となってまいります。)

 

《当事務所の受諾方針》

当事務所では、遺産分割協議書の案件につきましては、相続人間でのお話合いがまとまってからのご依頼についてのみ、受諾することといたしております。

 

☆なお、当初から紛争性が高い案件(ことに遺産分割協議書の案件)につきましては、弁護士の業務領域となります。

この場合は、行政書士の範疇を超える案件となりますので、当方はおうけすることができません。

その点ご理解・ご了承くださいませ。

 

 

[相続の開始]

相続』は、被相続人の死亡によって開始します。

 

被相続人が死亡した場合には、同居の親族か、その他の親族が医師の診断書または検案書を添えて死亡届を提出しなければなりません。

 

相続開始の場所は、被相続人の住所で開始します。(この住所が裁判時における管轄と関係します。)

  

[相続人]

配偶者は“常に相続人”となります。(民法890条)

ただし、内縁の妻には相続権は認められていません。

 

血族相続人の順位には定めがありまして次のようになっています。

①第一順位:被相続人(およびその代襲相続人である直系卑属)

②第二順位:直系卑属がいないとき、被相続人直系尊属が相続人

③第三順位:直系卑属もいないとき、被相続人兄弟姉妹

 

※「直系卑属」とは、その本人下の世代

代襲相続人」とは、第一順位となるはづの被相続人の子が先に死亡しているケースで、その死亡している子の子がかわりに相続権を引き継ぐことをいいます。

直系尊属」とは、その本人上の世代

ちなみに、「胎児」については、民法では、“既に生まれたものとみなす”、と規定がなされております。

 

 [法定相続分]

被相続人は、遺言により相続分を決めることができますが、これがないときは一般的には民法の定める法定相続分の規定が適用されることとなります。

民法では法改正もございましたので、法定相続人の法定相続分については、次のように被相続人の死亡時点の年月日により取扱がことなることとなってきます。

 

①昭和56年1月1日以降のケース

〈パターンⅠ〉相続人が配偶者と子

配偶者 → 2分の1

子   → 2分の1

〈パターンⅡ〉相続人が配偶者と直系尊属

配偶者 → 3分の2

直系尊属→ 3分の1

〈パターンⅢ〉相続人が配偶者と兄弟姉妹

配偶者 → 4分の3

兄弟姉妹→ 4分の1

 

 ②昭和22年5月3日から昭和55年12月31日までのケース

〈パターンⅠ〉相続人が配偶者と子

配偶者 → 3分の1

子   → 3分の2

〈パターンⅡ〉相続人が配偶者と直系尊属

配偶者 → 2分の1

直系尊属→ 2分の1

〈パターンⅢ〉相続人が配偶者と兄弟姉妹

配偶者 → 3分の2

兄弟姉妹→ 3分の1

 

 【昭和56年1月1日以降のケース
     相続人構成        法定相続割合
 配偶者      子      直系尊属 兄弟姉妹
 配偶者のみのケース

   全て

  ー

  ー

    ー

 子のみのケース

  ー 

   全て 

  ー

    ー

 直系尊属のみのケース 

  ー

  ー

   全て

    ー

 兄弟姉妹のみのケース

    ー 

    ー

     ー

 全て

 配偶者と子のケース

   1/2

   1/2 

   ー 

    ー

 配偶者と直系尊属(父母・祖父母)

   2/3

 ー

   1/3

    ー

 配偶者と兄弟姉妹

 3/4

   ー

  ー

 1/4

 

[相続の承認と放棄]

 相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に、相続の承認または放棄の選択をしなければなりません。

 

相続財産にはプラスの財産もあればマイナスの財産もあります。

 

マイナスの財産が多いとされる時は放棄してもよいことになっています。

 

プラスの財産が多いときは承認するということになるかと思われます。

限定承認という選択もあり、こちらは相続財産のプラスの財産の限度で、債務の責任を負う、という選択となります。

 

よってこの3か月という期間によく検討しなければなりません。

 

 

[相続財産]

民法(896条)では、相続人は、相続開始の時から“被相続人の一身に属したもの”を除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する、と規定しております。

 

①積極財産

土地、家屋、有価証券、現金、預貯金、自動車、機械、宝石、立木、借地権、借家権、地上権、賃借権、特許権、著作権、その他。

 

②消極財産

売掛金、住宅ローン、借金

 

 

 

[相続財産とならないもの]

・一身専属的権利義(被相続人の一身に専属したものは、相続により承継されません。例として、恩給請求権・扶養請求権使用貸借上の地位・雇傭契約上の地位・委任契約上の地位、など。)

 

・祭祀財産(祖先の系譜、祭具、お墓などの祖先の祭祀財産などがございます。これらは相続財産とは区別されます。通常、被相続人が承継者を指定します(遺言に記載するのが通常)。指定なき時は、慣習によることとなりますが、慣習が明らかでない時は、家庭裁判所が指定します。

 

・生命保険金(一般に、生命保険金は相続財産ではなく、当該契約において受取人が指定された固有の財産とされています。)

 

・死亡退職金(通常、会社等では規定(就業規則や労働契約など)がおかれており、これに死亡退職金についての定めがなされています。公務員におきましては、法律や条例によって定めがなされております。このような場合、判例では、死亡退職金は相続財産には該当せず、受給権者たる遺族が自己の固有の権利として取得する、としています。)

 

 

[遺産分割協議書]

①被相続人に死亡をもって、その相続財産は相続人が承継することとなります。

 

遺言がある場合には、その遺言の内容にそって遺産分割が行われてゆきます。

しかし、相続人全員の合意があれば、この遺言の内容と異なる内容の遺産分割とすることも可能です。

 

③遺言がない場合には、民法の規定にそった形での法定相続分の割合により遺産の分割を行うケースと、共同相続人全員の合意により行う協議分割のケースとの、2つが考えられます。

協議分割のケースで共同相続人全員の合意により遺産分割の内容を一定の様式にまとめた書類が遺産分割協議書ということになります。

現実には協議分割による遺産分割のケースが圧倒的多数です。

なぜなら、法定相続分によりおこなう遺産分割の方式ですと、結果として相続財産の管理を共同相続人が共同でおこなう形となってしまい、その後の管理等に不都合さや困難さが生じてしまうからです。

 

④協議が不発となりまとまらない場合には、家庭裁判所の審判・調停がはいることとなります。

 

⑤遺産分割の対象は、被相続人の積極財産だけとなります。

消極財産についての分割は、遺産分割案により配分される相続分の割合に応じてなされることとなります。

 

⑥遺産分割についての基準として、民法(906条)では、“遺産の種類、性質、各相続人の年齢や職業、心身の状況や生活状況など一切を考慮して適切な分割を行うこと”、と記されています。

 

遺産分割協議書には、相続財産についてはもれなく記載してゆき、かつその取得者を明記してゆきます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意によるものですので、相続人全員の実印がおされていなければなりません。

協議書は相続人の人数分を作成する必要があります。

 

⑧しかし、その後になって新たに相続財産が発見されることもめずらしくありません。

このように後になって発見される相続財産のことも念頭において、遺産分割協議書にはこの処理方法についてあらかじめ明記しておくことが望ましいといえます。

方法論的には2つ考えられ、1つは“改めて分割協議を行う”とする場合と、もう1つは“特定の相続人が取得することを合意しておく”とする場合、とがございます。

 

※いずれにせよ、相続人間のみでこれらの話し合いから遺産分割協議書までの一連の流れをうまくまとめるには、一筋縄にはゆかないことのほうが多いかと思われます。

第三者を間にいれてこれらの行為をすすめていったほうがスムーズにことが運びます。

このような案件については、ぜひ当事務所の行政書士国際経営法務事務所をご活用くださいませ。

 

[法改正情報(H25.12.5)]

平成25年12月5日、民法の一部を改正する法案が成立しております。

この法改正により、嫡出でない子の相続分は嫡出子の相続分と同等になりました。

※「嫡出でない子」とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。

(参考:改正前では嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とされていました。)

 

[ご依頼の前にお願い]

☆遺産分割協議書の案件のご依頼につきましては、ご依頼等の事前に、相続人間でお話をされておいて、ある程度までのお話をまとめておかれておいてくださいませ。

 

当初から紛争性が高い案件の場合は、行政書士の領域を超えておりまして、弁護士の領域となっております。

当初から紛争性が高いケースについては、当初から弁護士へご依頼くださいませ。

(この場合、当方ではお受けすることはできない案件となりますので、その点ご了承くださいませ。